放射能汚染が未来世代に及ぼすもの: 「科学」を問い、脱原発の思想を紡ぐ [単行本(ソフトカバー)]

放射能汚染が未来世代に及ぼすもの: 「科学」を問い、脱原発の思想を紡ぐ [単行本(ソフトカバー)]



綿貫 礼子 (編集), 吉田由布子 二神淑子 リュドミラ・サァキャン (編集)
2011年3月11日の東日本大震災と共に発生した福島第一原発の事故は、チェルノブイリ原発事故の影響調査にかかわってきた私たちにとって、衝撃以外の何ものでもなかった。しかも原子炉三基が事故を起こしているという現実は信じ難いものであった。事故の規模や放射能の広がりの不明さ、政府の対応、「専門家」という人々が語る「健康への影響は少ない」という言葉……。すべて25年前のチェルノブイリ原発事故後の状況が再現されているかのようであった。  私たちは、チェルノブイリ事故後に生を享けた子どもたち(ポスト・チェルノブイリ世代=未来世代)の健康状態について20年以上調査研究を重ねてきた。「チェルノブイリの放射線被害は小児甲状腺ガンだけ」という「専門家」の言葉とは裏腹に、さまざまな病気が汚染地域で広がり、「健康でない子どもたち」は増加の一途をたどっている。それはなぜか。原発事故で放出された放射能による生態系汚染は、その生態系の中にある人の身体を汚染し、身体の中にあって内なる生態系ともいえる子宮内をも汚染している。未来世代はその汚染の中から生まれてくるのである。本書ではチェルノブイリの未来世代への放射線の健康影響について、女性の視点で追及し研究を重ね、フクシマ事故の起きたその年にたどりついたひとつの「仮説」を紹介する。  同時に、チェルノブイリ事故による子どもたちの健康被害はなぜ世界に伝わらないのか、「国際原子力村」の科学者たちによる健康被害過小評価の歴史を検証し、「公式見解」=「科学」を問うている。  フクシマ事故は日本のみならず世界に対し、21世紀の「科学」を私たちがどのように選択するのか、意識の変革を迫っているのではないだろうか。本書が未来世代と「共生」できる社会を選びとるための、ひとつの“糧”になってほしいと願っている。(よしだ・ゆうこ)



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